※2026年9月13日時点の公開情報をもとに調査しています。
フィジカルAIでは、ロボットそのものだけでなく、人間が現実世界でどう動いているかというデータが重要になっています。
たとえば、料理、掃除、洗濯、DIY、接客、商品の陳列、工場作業などです。
そして最近では、こうした作業を撮影してAI企業へ提供し、情報提供者が報酬を受け取る仕組みが実際に登場しています。
しかし、ここで気になるのが採算です。
「動画を撮るだけで報酬がもらえる」と聞くと簡単そうですが、実際にはスマートフォン、撮影用マウント、通信回線、撮影時間などが必要になる場合があります。
さらに、撮影した動画が不採用なら報酬が出ないサービスもあります。
そして、自宅の中や仕事中を撮影する以上、プライバシーについても確認が必要です。
この記事では、
どれだけ費用を負担し、どれだけ報酬を得られる可能性があるのか
という視点から、現在確認できる代表的なPhysical AI向けデータ収集サービスを整理します。
- 結論:機材をすでに持っている人ほど有利
- なぜ人間の普通の生活にお金が付くのか
- Figure Index:機材を買わずに参加できる可能性が高い
- Claru:報酬額がかなり分かりやすい
- EgoVista:プライバシーを重視した参加型モデル
- DoorDash Tasks:ギグワーカーがAI用データ収集者になる
- Human Archive:本業をしながら追加報酬を得るモデル
- 参加費0円でも「本当のコスト」は存在する
- プライバシーを「費用」として考える必要もある
- 企業なら「仕事そのものがデータ資産」になる
- 個人参加で向いている人
- 参加前チェックリスト
- 筆者の考察:Physical AIでは「労働データ市場」が生まれ始めている
- FAQ
- 一次情報
- この記事で伝えたいこと
- 派生記事:データを提供するだけでなく、料理AIを自分で作るなら
結論:機材をすでに持っている人ほど有利
まず結論です。
個人参加型のPhysical AIデータ収集は、専用機材を買って本格的な副業として始めるより、普段の生活や仕事をついでに撮影するほうが相性がよいです。
一方で、企業の場合は話が変わります。
従業員が普段から行っている料理、清掃、物流、製造、接客などを撮影できれば、本来の仕事から追加の「データ収入」を生み出せる可能性があります。
現在の主なサービスを整理すると次のようになります。
| サービス | 個人・企業 | 報酬 | 主な自己負担 | 日本からの利用 |
|---|---|---|---|---|
| Figure Index | 個人中心 | 分単位・単価非公開 | 比較的小さい | アプリ公開、参加は審査制 |
| Claru 個人 | 個人 | アジア例5ドル/承認済み1時間 | スマホ・撮影機材・通信 | 現在の対象国に日本なし |
| Claru Partner | 企業 | 新規撮影40~120ドル/時など | 主に運用・従業員対応 | 個別審査 |
| EgoVista | 個人 | 案件ごとに提示 | スマホ・マウントなど | 支払い可能地域なら世界参加型 |
| DoorDash Tasks | 個人 | 案件ごとに事前表示 | 案件次第 | 現在は米国の一部 |
| Human Archive | 既存労働者 | 約1ドル/時の追加報酬との報道 | 基本的に小さい | 主にインド |
ここから詳しく見ていきます。
なぜ人間の普通の生活にお金が付くのか
ChatGPTのようなAIは、大量の文章や画像を学習して賢くなりました。
しかし、ロボットの場合は文章だけでは足りません。
ロボットは、
「コップをどの力で持つか」
「引き出しをどう開けるか」
「洗濯物をどう畳むか」
「工具をどう持つか」
といった現実世界の動きを覚える必要があります。
つまりPhysical AIでは、人間の身体の使い方そのものが学習データになります。
そのため、
人間が普段の仕事や家事をする
↓
一人称カメラなどで撮影する
↓
AI企業がデータとして購入する
↓
ロボットやPhysical AIを学習させる
という市場が生まれ始めています。
Figure Index:機材を買わずに参加できる可能性が高い
まず注目したいのが、ヒューマノイド企業Figure AIの「Index」です。
Figureは、一般の人をCreatorとして募集し、家庭や職場で実際に行っている作業を撮影してもらっています。
料理、掃除、洗濯だけではありません。
レストラン、物流センター、工場、オフィス、小売店なども対象です。
Figureによると、2026年8月時点でIndexは108か国、26万4,000件以上のアプリダウンロード、4万4,000人以上の週間アクティブCreatorを持ち、1,600万本以上の動画が投稿されています。
さらに、Creatorへの累計支払額は1,500万ドルに達したとしています。
Figure Indexでは録画機器が提供される
Figure Indexの大きな特徴は、Creatorとして承認されると録画機器を受け取れることです。
そして、日常作業を撮影すると分単位で報酬が支払われます。
日本のApp StoreでもFigure INDEXアプリ自体は無料公開されています。
ただし現在は応募者が多く、承認待ちの仕組みになっています。
したがって、すでにiPhoneと家庭用インターネット回線がある人なら、初期費用はかなり抑えられる可能性があります。
問題は、報酬単価が公開されていないことです。
Figureは「分単位で支払う」としていますが、1分いくらなのかは一般公開していません。
そのため、
初期費用:低い
報酬実績:大きい
自分がいくら稼げるか:参加するまで分かりにくい
というサービスです。
Figure Indexで注意したいのはプライバシー
Figureのプライバシーポリシーでは、写真、動画、音声、自分や周囲の環境に関する記録などを「Sensory Data」として扱っています。
日本のApp Storeでも、名前、メールアドレス、おおよその位置情報、ユーザーIDなどが本人と関連付けられる可能性があると表示されています。
一方で、Creatorが投稿した動画について、
どこまで権利を渡すのか
撮影された家族をどう扱うのか
AI学習後に削除できるのか
不採用動画はどうなるのか
といった重要な条件は、一般公開ページだけでは十分確認できません。
そのためFigure Indexは、録画機器が届いたらすぐ撮影するのではなく、Creator向け契約条件を確認してから始めるのが安全です。
Claru:報酬額がかなり分かりやすい
次にClaruです。
ClaruはReka AIが展開しているPhysical AI向けデータ事業です。
料理だけでなく、
掃除
洗濯
整理整頓
DIY
自動車整備
庭仕事
オフィス作業
など幅広い作業を募集しています。
アジア向けの家庭内作業案件では、インド、フィリピン、インドネシア、ベトナムの参加者に対して5ドル/時間という報酬が提示されています。
2026年9月時点では、この個人向け案件に日本は含まれていません。
Claruは基本的に自分の機材を使う
Claruの契約を見ると、案件側で特別な指定がない限り、参加者が自分で機材や必要な物を用意することになっています。
さらに、仕事を行うための費用も原則として参加者負担です。
たとえば家庭撮影なら、
最近のスマートフォン
頭部または胸部マウント
家庭のWi-Fi
アップロード時間
などが必要になります。
そのため、「参加費無料」と「費用がかからない」は同じ意味ではありません。
Claru個人参加を料金シミュレーション
ここでは分かりやすく試算してみます。
為替は1ドル=約152円として計算します。
条件は、
スマートフォンはすでに所有
撮影マウントだけ3,000円で用意
報酬5ドル/時
撮影動画の90%が承認
10時間撮影するために、準備やアップロードを含め合計12時間使う
とします。
5ドル×10時間×90%=45ドルです。
日本円では約6,850円になります。
そこからマウント代3,000円を引くと、
初回の手残りは約3,850円
です。
実際に使った時間が12時間なら、
実質約320円/時間
まで下がります。
かなり低く見えます。
しかし、これは最初にマウントを買った費用が大きいからです。
同じ機材で50時間撮影した場合は、
報酬:約3万4,200円
機材差し引き後:約3万1,200円
となります。
準備時間などを含めて60時間使ったとすると、実質では約520円/時間です。
つまり、5ドル/時間という報酬なら、新しいスマートフォンを買って参加するような使い方はかなり厳しいことが分かります。
すでにやっている家事なら意味が変わる
ただし考え方を変えると評価も変わります。
たとえば毎日どうせ料理や掃除をする人なら、
「1時間働いて5ドル」
ではありません。
本来やる予定だった家事を撮影して、
家事1時間+追加作業10~20分で5ドル
と考えることもできます。
この場合は副業というより、
普段の生活データを収益化する
という考え方になります。
Physical AI向けデータ提供は、この使い方のほうが向いていそうです。
Claruで一番重要なのは動画の権利
Claruは報酬額が分かりやすい一方、契約条件はしっかり確認したほうがよいサービスです。
Claruの契約では、案件で作成したWork Productについて、権利をClaru側へ譲渡する内容が定められています。
また、そのデータを使って作られたAIモデルについて、参加者には権利がないことも明記されています。
さらに、自分以外の人物が映る場合には、必要な同意を取得する責任があります。
つまり、
「動画を少し撮って500円もらう」
だけの話ではありません。
その映像を将来のAIやロボット開発へ利用する権利と引き換えに報酬を受け取る取引だと考えたほうが正確です。
個人より企業参加のほうが収益性は大きい
Claruには企業向けのPartner制度もあります。
ここがかなり面白いところです。
レストラン、清掃会社、工場、農場、自動車整備、物流、小売など、従業員が実際に身体を使って仕事をしている企業が対象です。
企業にカメラがなければ、Claru側から頭部カメラ、スマートグラス、固定カメラなどを送ることもできます。
つまり会社側が高価な撮影設備を最初から購入する必要がないケースがあります。
Claru企業向けは40~120ドル/時間の例もある
Claruは企業向けページで、典型的な初回契約として、
既存映像のライセンス:5,000~50,000ドル
新規撮影:40~120ドル/時間
という目安を公開しています。
1ドル=152円なら、
新規撮影は約6,100~1万8,300円/時間
です。
個人向け5ドル/時間と比べると、かなり違います。
もちろん企業向けには従業員管理、同意取得、撮影品質、撮影環境などが求められるため、単純比較はできません。
それでも、企業がすでに行っている仕事を撮影するだけなら、新しい収益源になる可能性があります。
企業5人で撮影すると月50万~90万円規模になる例も
Claruの公式試算には、
5人
1人あたり週3時間撮影
50~90ドル/時間
という例があります。
この条件では、月間売上は約3,200~5,800ドルです。
日本円なら、
約49万~88万円/月
になります。
年間では約580万~1,060万円程度です。
もちろんこれは売上です。
従業員の作業時間、管理、同意取得、生産性低下などを考えれば、そのまま利益にはなりません。
しかし普段の仕事をしながら撮影できるなら、限界費用は小さくできます。
個人向け副業よりも、むしろこちらのほうがPhysical AIデータ市場の本命になる可能性があります。
既存の防犯・作業動画まで売れる可能性がある
さらにClaruは、すでに企業が持っている映像のライセンスも買っています。
典型的な初回契約では5,000~50,000ドルとされています。
既存動画の場合は非独占ライセンスで、元の映像自体は企業側が保持できると説明されています。
つまり、
工場の品質管理映像
店舗内作業
研修映像
スマートグラス映像
作業記録
などが、条件次第では新しい資産になる可能性があります。
企業撮影ではプライバシー処理も必要
当然、職場を撮影すると顧客や従業員が映ります。
Claruは、顧客の顔、決済カード、ナンバープレートなどの個人情報を自動処理すると説明しています。
また、従業員の同意についても必要だと明記しています。
Claruは同意書のテンプレートやオプトアウトの仕組みを提供しますが、現地法への対応そのものは企業側の責任です。
つまり「カメラを付ければすぐ売れる」というほど簡単ではありません。
EgoVista:プライバシーを重視した参加型モデル
EgoVistaも、一般の人から一人称動画を集めています。
料理、掃除、DIY、庭仕事、オフィス、職人作業などが対象です。
参加登録自体は無料です。
さらに最低参加時間もありません。
ただし、最近のスマートフォン、GoPro、スマートグラスなどが必要です。
スマートフォンやGoProを使う場合は、頭や胸の位置へ固定するためのマウントも必要です。
報酬は案件ごとに事前表示されます。
そして、品質チェックを通った「利用可能な動画時間」に対して支払われます。
具体的な共通時給は公開されていないため、応募前に案件単価を確認する必要があります。
EgoVistaはプライバシー対策がかなり明確
EgoVistaの特徴は、プライバシーの説明が比較的分かりやすいことです。
公式説明では、
顔は外部処理前にぼかす
データはEU内で保存・処理
動画を一般公開しない
不採用動画は短期間後に削除
案件ごとに参加するか決められる
としています。
また、撮影者は従業員として働くのではなく、撮影した映像のライセンスを提供し、その対価を受け取る仕組みです。
FigureやClaruと比較すると、プライバシーの説明をかなり前面に出しています。
DoorDash Tasks:ギグワーカーがAI用データ収集者になる
DoorDashも2026年3月に「Tasks」を発表しました。
これは従来の配達だけではなく、短時間のデータ収集作業をDashersへ依頼する仕組みです。
その中には、
料理の写真
店舗情報
日常作業の撮影
音声収録
などがあります。
特に日常作業を撮影するデータは、AIやロボットシステムが現実世界を理解するために利用されます。
報酬はタスクを受ける前に表示され、難易度や必要な作業量によって変わります。
ただし公式発表では、共通時給は公開されていません。
また2026年9月時点では、米国内の限られた地域で展開されており、日本から参加するサービスではありません。
DoorDashの場合は、すでに数百万人のギグワーカーを抱えている点が重要です。
今後、
配達員
↓
配達の空き時間にデータ収集
↓
Physical AI企業へデータ提供
という働き方が増える可能性があります。
Human Archive:本業をしながら追加報酬を得るモデル
Human Archiveは、少し違った方法を取っています。
インドの家事代行、ホテル、レストランなどで働く人にカメラ付きヘッドセットを装着してもらい、実際の仕事を撮影します。
TechCrunchによると、2026年5月時点で1,000台以上のヘッドセットが稼働しており、参加する作業者には基本1ドル/時間の追加報酬を支払っているとされています。
1ドル=152円なら、
20時間撮影して約3,000円
80時間撮影して約1万2,000円
程度です。
単体の仕事として見ればかなり低い金額です。
しかしこれは、本来の仕事の給与とは別に、カメラを装着することで追加される報酬として考える必要があります。
つまり、
普段の給与
+
Physical AI用データ提供料
というモデルです。
家庭側にもメリットを付ける仕組みがある
Human Archiveでは、作業者が訪問する家庭にも選択肢があります。
撮影を許可した家庭には、サービス料金を割り引く仕組みがあるとTechCrunchは報じています。
つまりデータ提供による利益が、
データ収集会社
作業者
家庭
へ分配される構造です。
これは今後かなり広がる可能性があります。
たとえば、
「清掃料金8,000円。ただしAI学習用撮影に同意すれば6,000円」
というサービスが一般化する可能性も考えられます。
ただし、これは筆者の将来イメージであり、現在この価格で提供されているという意味ではありません。
参加費0円でも「本当のコスト」は存在する
Physical AIデータ提供で最も誤解しやすいところです。
登録無料でも、次のような費用があります。
スマートフォンやカメラ
頭部・胸部マウント
Wi-Fiや通信
充電・電気
撮影準備
アップロード
再撮影
不採用動画
税金
プライバシー
特に大きいのは自分の時間です。
表面上5ドル/時間でも、撮影準備やアップロードに20分かかれば、実質時給は低くなります。
さらに20%の映像が不採用になれば、もっと下がります。
実質時給はこの計算で考える
判断するときは、
実質利益 ÷ 実際に使った総時間
で考えると分かりやすくなります。
たとえば、
撮影報酬7,000円
機材3,000円
通信追加費0円
実際に使った時間12時間
なら、
実質利益は4,000円です。
4,000円÷12時間なので、
実質約333円/時間
です。
「時給760円」と広告されていても、実際の利益はかなり違う可能性があります。
機材を買ってまで参加するべきか
個人の場合、現時点では慎重に考えたほうがよさそうです。
10万円のスマートフォンをPhysical AI撮影専用として買い、報酬が5ドル/時間だったとします。
約760円/時間なので、スマートフォン代だけを回収するにも約132時間の承認済み動画が必要です。
不採用や作業時間を含めれば、さらに増えます。
そのため、
すでに持っているスマホを使う
というのが基本です。
Figure Indexのように撮影機材を企業側が提供するサービスは、この点で参加しやすくなっています。
プライバシーを「費用」として考える必要もある
Physical AIデータ提供では、お金だけで採算を考えないほうがいいでしょう。
自宅を撮影すると、
部屋の間取り
家財
生活時間
家族
郵便物
パソコン画面
住所につながる情報
音声
などが映り込む可能性があります。
たとえ顔をぼかしても、部屋や生活パターンから個人情報が分かる可能性があります。
つまり、
プライバシーも対価として提供している
という考え方が必要です。
500円の報酬と引き換えに、どの程度の映像利用権を渡すのか。
ここまで確認して初めて「得かどうか」を判断できます。
企業なら「仕事そのものがデータ資産」になる
企業側では、さらに大きな変化が起きる可能性があります。
これまでは従業員が1時間働けば、商品やサービスが生まれました。
これからは、
従業員が1時間働く
↓
商品やサービスが生まれる
↓
同時にPhysical AI学習データも生まれる
という状態になります。
つまり、同じ労働から2種類の価値を生み出せます。
工場、物流、農業、清掃、飲食、自動車整備、建設など、身体作業が多い業界ほどデータ価値が高くなる可能性があります。
しかし「自分たちの仕事をAIに教えている」という見方もできる
一方で、反対の見方も必要です。
現場の仕事を大量に撮影してAI企業へ提供するということは、
自分たちが現在行っている仕事を、将来のロボットに教えている
とも言えます。
短期的にはデータ収入になります。
しかし長期的には、そのデータによって自動化が進む可能性があります。
したがって企業として参加する場合は、
目先のデータ販売収入だけでなく、
自社もそのAIを利用できるのか
将来のロボット導入コストを下げられるのか
データを独占販売するのか
非独占で複数社へ提供するのか
まで考えたほうがよいでしょう。
個人参加で向いている人
個人の場合は、専用の副業として時間を作る人より、
普段から料理をする
掃除をする
DIYをする
庭仕事をする
自動車を整備する
趣味で工作する
など、もともとPhysical AIに価値がある動作をしている人のほうが有利です。
普段の作業にカメラを追加するだけなら、追加コストを小さくできます。
現時点で一番参加しやすそうなのはFigure Index
日本から個人として興味本位で試すのであれば、現時点ではFigure Indexが比較的参加しやすそうです。
日本のApp Storeから無料アプリを入れられ、Creatorとして承認されれば録画機器も提供されます。
ただし報酬単価が公開されていません。
そのため、
機材を買わずに応募して、報酬条件と契約条件を確認してから参加を決める
という使い方がよさそうです。
プライバシー重視ならEgoVistaも興味深い
EgoVistaは世界向けに参加者を募集しており、登録自体は無料です。
さらに、
EU内でのデータ保管
外部処理前の顔ぼかし
不採用映像の削除
案件ごとの参加判断
などが明確です。
ただしスマートフォンやマウントなどは自分で用意する必要があります。
そのため、機材をすでに持っている人向けです。
収益性だけなら企業向けClaruが別格
今回調べた中で、単純な金額が最も大きいのはClaruの企業向けデータ提供です。
既存動画のライセンスが5,000~50,000ドル、新規撮影が40~120ドル/時間という目安が公開されています。
もちろん誰でもこの価格で売れるわけではありません。
Claru自身も、データ品質、地域、撮影方法、希少性、独占性などで料金が変わると明記しています。
それでも、
Physical AI時代には「仕事をしている会社そのもの」がデータ会社にもなれる
という可能性を示している事例です。
参加前チェックリスト
参加する前には、次の点を確認すると判断しやすくなります。
- 参加料金は本当に0円か
- スマートフォンやカメラを自分で買う必要があるか
- 撮影時間ではなく「承認された時間」にだけ報酬が出るのか
- 不採用率や再撮影の条件はどうなっているか
- 家族、同僚、顧客が映った場合の同意は誰が取るのか
- 動画の著作権・利用権をどこまで渡すのか
- 報酬から機材費・作業時間・税金を引いても利益が残るか
筆者の考察:Physical AIでは「労働データ市場」が生まれ始めている
ここからは事実ではなく考察です。
今回調べていて面白いと感じるのは、AIデータ提供が単なるアンケートや画像投稿から変わり始めていることです。
これから価値を持つのは、
人間が現実世界でどのように動いたか
という情報です。
そのため、
料理できる
掃除できる
機械を修理できる
商品を梱包できる
農作業ができる
といった普通の技能そのものが、データ資産になる可能性があります。
そして現在は、
人間が働く
↓
その行動を撮影する
↓
データ提供料を受け取る
↓
ロボットが学習する
という市場が立ち上がったばかりです。
一方で、そのデータが将来自分の仕事を自動化する可能性もあります。
だからこそ、
いくらもらえるか
だけを見るのではなく、
何の権利を渡して、何を得るのか
を見ることが重要です。
FAQ
Physical AIのデータ提供は日本から参加できる?
サービスによります。
Figure Indexは日本のApp Storeから応募できますが、Creator参加は審査制です。
Claruの現在の個人向けアジア案件はインド、フィリピン、インドネシア、ベトナムなどが中心で、日本は対象外です。
EgoVistaは支払い可能な国であれば世界から参加できる仕組みを案内しています。
専用カメラを買わないと参加できない?
必ずしも必要ありません。
Figure IndexはCreatorへ録画機器を提供します。
EgoVistaやClaru個人案件では、自分のスマートフォンやカメラを使うケースがあります。
Claruの企業向けPartner制度では、Claru側がカメラを提供できます。
動画を撮れば必ず報酬が出る?
出ないサービスがあります。
ClaruやEgoVistaでは、品質基準を満たして承認された成果物・動画時間に対して報酬が支払われます。
そのため、不採用リスクも含めて実質時給を考える必要があります。
会社の仕事を撮影して売ることもできる?
できます。
Claruは工場、飲食、小売、農業、清掃、物流などの企業から、既存映像のライセンス取得や新規撮影を行っています。
ただし従業員や顧客の同意、個人情報処理などが必要です。
稼ぐためにスマートフォンを買う価値はある?
現時点の個人向け案件だけを目的に高額なスマートフォンを購入するのは、あまりおすすめできません。
すでに持っている機材で参加できる案件を選び、利益が確認できてから追加投資を考えたほうが安全です。
一次情報
Figure Indexについては、Figure AI自身がCreator数、動画数、累計支払額、利用目的などを公開しています。
Figure AI「Introducing Index」
実際の参加方法はこちらです。
Figure Index公式ページ
Claruの個人向け案件や報酬条件は求人ページから確認できます。
Claru Jobs
企業としてPhysical AI用データを提供したい場合はこちらです。
Claru Partnerships
Claru参加者の契約条件も公開されています。
Claru Annotator Master Services Agreement
EgoVistaの参加条件、プライバシー、報酬の仕組みはこちらです。
EgoVista Contributor
DoorDash Tasksの公式発表はこちらです。
DoorDash「Introducing DoorDash Tasks」
この記事で伝えたいこと
Physical AI向けの人間データ収集は、すでに報酬付きのビジネスとして始まっています。
しかし、個人参加の場合は報酬だけを見ると判断を誤ります。
スマートフォン、撮影マウント、通信、作業時間、不採用リスク、プライバシーまで含めて実質利益を計算する必要があります。
一方で企業の場合は、普段の仕事そのものをPhysical AI用データとして販売できる可能性があります。
今後は、
「働いて生み出す商品やサービス」+「働いた動作そのもののデータ」
という2つの価値が、同時に生まれる時代になるかもしれません。
まず個人で試すなら、機材を新しく買うのではなく、無料で応募できるサービスから始める。
そして企業なら、自社がすでに持っている作業映像や、日常業務そのものにデータ価値がないか確認する。
この順番で考えるのが、現時点では最も現実的です。
派生記事:データを提供するだけでなく、料理AIを自分で作るなら
Physical AIでは、人間の動きを撮影して学習データとして提供するだけでなく、集めたデータを使うAIや機器を自分で開発する側にもチャンスがあります。
たとえば、ArduinoとBrainChipのAKD1500を組み合わせれば、低消費電力で動くエッジAIを使い、料理や厨房作業を支援する仕組みを小型化できる可能性があります。
業務用の厨房や食品工場で使われてきたAIを、家庭でも使えるサイズや価格まで落とせるのか。
開発方法、必要な費用、活用例、量産した場合の採算まで知りたい方は、「Arduino×AKD1500で料理AI開発!BrainChipで業務用AIを家庭へ」も参考にしてください。

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